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酩酊珈琲

夜行性絵描きの雑記帳。

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Category: 日々

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Response: Comment 2  ---

終末理論


3月10日

高校を卒業しました。



「3月9日」でもAKB卒業ソングでも、ましてや「桜の雨」でもなく
間違いなく脳内に「粉雪」が流れた卒業式の朝。

都内某所、雪ですよ雪\(^o^)/
ホワイト卒業式になるなんて誰が予想しただろう…

制服の紺ブレザーに腕を通す。
耳にはめたイヤホンにAKBの「GIVE ME FIVE!」を流す。
爪先に少し白ペンキのついた茶色いローファーを履いて
後輩がくれた手編みの黒いマフラーに口元をうずめながら
ちょっとした雪景色に一人笑って家を出た。

礼拝堂の窓から惜しげもなく舞い込む桜吹雪に見惚れた入学式から3年後の今、
まさか雪の舞う中卒業式へ向かうだなんてね。
想定外でしょ?15歳の私。


清々しいほどに涙とは無縁の式だった。

全員が同じ制服を着ている風景ともサヨナラかと思うと感慨深くはあったけれど
まぁ、程良く冷めてる私の事だものね。

実際のところ、私と私の大事な人たちとの関係は、これからも当分ゆるやかに続いていく。
悲しむことなんてなにもなかった。
春になればきっと、大学の食堂で一緒にカレーでも食べていることだろう。


唯一私の後ろ髪を引いたのは
これまた想定内なことに、かわいい後輩たちだった。

卒業前夜、三年生送別会から帰った夜
後輩たちが書いてくれた美術部Tシャツと卒アルの寄せ書きを眺めながら
ひとしきり泣いた。泣きまくった。

あの子たちは私に十分すぎるほどの笑顔と存在価値をくれたよ。
皆に会えて、慕われて、私はほんとうに幸せだったと思う。


式のあと。

ばたばたと写真を撮りあって、別れを交わして
クラスの昼食会へ向かう賑やかな流れから外れて、ぶどうと二人、ふらりと学校を出た。

いつもどおり、私は彼女の右側を歩く。
卒業式後の感慨深さなんてかけらもない、慣れた雰囲気が心地良くて
軽い憎まれ口を叩き合いながら昼ごはんを食べに向かった。


…今思うと、なんでよりによってポムの樹を選んだんだろうね

メニューを眺めていたらふいに秋のとある日を思い出して、
カニクリームコロッケのオムライスから目を背けた。
多分もう暫くは、食べれない。

半熟カステラも
金色の微糖缶コーヒーも、ね。


予想以上に美味しかったとろろと葱の和風スープオムライスを食べてから
珈琲を飲みに近くのカフェ「人間関係」へ。

かぼちゃのプリンとチョコタルトを一口ずつ交換。
二人同じものを頼んだ珈琲は、マメヒコで飲む珈琲よりも少し酸味が強かった。

薄暗くて賑やかな店内で彼女の卒アルに絵を描きながら
机の下でこっそり、前夜に書いた手紙を挟み込む。
これを見つけた時のきみの顔が見てみたいなあと口元が緩んだとこを
冷めたカップを煽って誤魔化した。 げふん。


とろとろ歩いて久しぶりのカラオケへ。
ぶどうが歌ったチャットモンチーの「サラバ青春」にこの日初めて、ようやくじんわりくる。


個人的に卒業ソング?で一番涙腺にくるのは奥華子の「ガーネット」なんだよね

いつかの秋を思い出すのです
深夜のメールと、井の頭公園と、ガトーショコラと
焼き付けるまでもなく忘れられないなあと。

去年の今頃を思い出すのです
放課後の美術室で珍しく声を上げて、涸れるほどに泣いたなあと。

夏休みを思い出すのです
眩しい陽射しの中、毎日学校で文化祭準備をしてたあの一夏。
美術室と生徒会室を繋ぐ、頭上を葉っぱに覆われた道を何度も走ったなあと。

暗い放課後の教室と、肩越しに見ていた天井を思い出すのです
何度も、何度も。
舌に纏わりつくように残った缶コーヒーの温い甘みは覚えているのに
なのにどうして香水の匂いがもう思い出せないんだろうと。


「あなた」とか「きみ」とか
そういう歌詞に誘発される顔は私の中にふたつある。

割とこう、一時の感動や場の空気に泣かされるよりも
思い出をひとつひとつ丁寧に反芻しながら自発的にぼたぼた泣くほうなので

一旦すべてを箱に閉じ込めて鍵をかけるつもりで、
そのふたりに宛てて2通の手紙を書いた。

忘れられないって事は自分が一番知ってるからね
それでも全部が色鮮やかなままだと辛いかな、となんとなく思ったので
せめてもの救済措置として。
誰の為って勿論、自分の為、だけども。

ただまぁ 未練がないか、と聞かれたら
いつもの如く、困ったような顔で笑って誤魔化そうと思う。


制服を着た状態での最後のじゃあね、を笑いながら交わして
都心部から地元へと向かう夕方の電車に揺られる。
イヤホンから流れるのはAKBの「10年桜」。

家に着いて。
脱いだブレザーをハンガーに掛けて
正装用の白いYシャツのボタンをぷちぷちと外して
某店にて3足1000円でお馴染みのハイソックスを脱いで、

卒アルの寄せ書きページをさらに捲ったあと
空いた電車内で広げた時に見つけた
一番最後のページに並ぶ見慣れた文字を眺めながら

嬉しくて嬉しくて ちょっと笑った。




ねぇ、数年前の私

大学は心配しなくても大丈夫だよ。
美大とか色々迷ったけど、
ひどく運の良いことに、きみの望むような学科が新設されて
きみは春から仲の良い友達と一緒にそこへ進めるよ。

きみが初めて離れたくないって強く願った彼女とも、当分縁は切れないから。
安心して、毎日毎晩、軽口叩き合いながら過ごせばいい。


ねぇ、数か月前の私

ごめんね。
それしか言えない。

失ったものばかりじゃないって信じたいけど、
こればっかりはまだ、確証持てないや。

それでも、泣いた夜よりも遥かに長い時間、きみは幸せに浸かっていられるから
せめて今だけでも楽しんでおいて。



ねぇ、私

まだまだ未熟だけど
きみが絵を描ける人間でよかったって心から思うよ。

きみは今、有償の仕事だってこなせるようになったし
絵をきっかけに後輩の進路に大きな影響を与えもしたし
なにより絵で人を喜ばせられるようになってる。

込めた感情の重みに耐えられる絵を描けるようになりたいんでしょ?
人を黙らせられる絵を描きたいんでしょ?


制服を脱いで色んなことが変わるんだろうけども

ひとまず、これからも描き続けようか。




すべての卒業生に幸あれ。

2012.3.14


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comments
No title 
こちらは雪も降らず、珍しく晴れた日に先輩たちを送ってきました。
時が経つのって、こんなにも早いんですね。

どうか、これからの生活が楽しいものであることを。
ご卒業おめでとうございます。
>あづきさん 
ド関東なのにびっくりしましたよww
でもなかなかよいものでした、ホワイト卒業式。

えへ、ありがとうございます(・ω・)
間近の春に今から浮かれてますが、適度に引き締めつつ
マイペースに頑張ってこうと思います。
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獏

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