酩酊珈琲

夜行性絵描きの雑記帳。

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縛りつけるもののはなし。


大学の姉貴分と話し込むと、
時折なんだかアブノーマルな話題に花が咲く。

先日、彼女に勧められて読んだ『薬指の標本』という中編小説。

記憶に纏わるものを標本にして閉じ込める仕事と、
足に異常なまでにしっくり馴染む贈り物の靴と、
炭酸水を桃色に染めた薬指の断片を描いた物語だ。ざっくり言えば。


(少々不謹慎なお話をするのでいちど畳みます)


とある春の夕暮れ。
「標本にしたい」と彼女がこぼしたことがある。

わたし達はもしもの話をするのが好きだ。
着物姿の彼女と二人、居酒屋で焼き鳥を串から外しながら
もしも愛する人が死んでしまったらどうする?と
わたしがふと思いついて投げかけたのがその発端だった。
悲しみをどうするかではなく、そのつめたいからだをどうするか。どうしたいか。

眺めていたいと彼女は言う。
手にとって、指で包んで、薬剤に沈むそれを光に透かしたいのだろう。
「指か眼球がいいな」と嬉しそうに語る彼女があの小説を好きだというのは
読了した今になってだけれども、成る程、納得できた。

恋人(今いませんけど)の肌を噛むのが好きなわたしは
「食べちゃうのはどう?」と返してみた。
制服越しに甘噛みすることを許された時の安堵感と、
「食べちゃいたい」と甘やかされたメールの文字とを頭の片隅で懐かしみながら。

なにが悲しいって、心地良い熱と柔らかな肌を持っていたはずのからだが燃やされて、
灰という名の粉になってしまうことなのではないかとわたしは思っている。

それならひとかけらでもさ、と笑うわたしに
いいねぇ、と彼女が頬を綻ばせたのは言うまでもない。
不謹慎揃いで申し訳ないです。


雑貨屋でアクセサリーを眺めている時には指輪の話をした。

指に多少コンプレックスがあるので自ら好んで着けたことはない。
先日銀粘土の講習会に赴いたとき、ふと思い立って作ったお手製の指輪は
焼きが甘かったおかげで帰路の途中に壊れてしまった。

近々ペアリングを買いたいのだと、
話題に似合わない、いつもの淡白な声で彼女は言っていた。

彼女の声と手のひらはいつも上から降ってくる。背が高いのだ。
いいなぁと笑ったわたしの頭をやさしく宥めるように撫でてくれた彼女は
恐らく、それなりに深いところまで読んでくれたのだと思う。

対の指輪。
正直憧れている。

贈り損ねたときに味わったあの苦みは
そう古い記憶のものではない。

片割れを残して卒業することを考えた瞬間が確かにあった。
あのまま穏やかに日々が流れていたのなら、
…もとい、当時のわたしがもう少し誠実であったのなら
きっと今のわたしの指には、ひとつ輪っかがはまっていたのではないかと思う。

友人へのプレゼントに可愛い指輪を選んだことなら多々ある。
指輪に限らず、ひとにものを贈るのがすきなのだと自覚したのはいつかの秋で
結果、某友人の部屋を訪ねるたびに我ながら苦笑するはめになった。

そのつめたい輪っかに込める意図がどうであれ、
今もこの先もきっと
指輪はわたしにとって「贈る」ものなのだろう。


夏は懐古心が疼く。
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獏

Author:獏
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