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酩酊珈琲

夜行性絵描きの雑記帳。

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Category: 独り言

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冬眠アフター


自己論のはなし。



木炭での石膏デッサンの手順が変わっているとよく言われる。
私も実際そう思う。

紙の一番真ん中、首筋と鎖骨のぱきっとした陰影から手をつけて
じわじわと細胞分裂をするみたいに黒い面積を広げていく。
黒と灰色と濃灰の小さなブロックを細かく細かく積み上げて
時々白いブロックに積み替えていく作業のようで なかなかに睡魔を誘いやすい。

狭い狭い、ほんの1スペースにひたすら木炭を刷り込み、手を黒く汚す。
それをじんわりと繰り返していくものだから
首筋から離れた部分(頭髪、胸元…)になかなか辿りつかない。

全体像をとるという工程を丸々すっ飛ばす悪癖が直らない。
呆れたのか慣れたのか、先生ももはや何も注意してこなくなった。
それでもいいんだ楽しいから。

今はジョルジョの髪とブルータスの纏う布の縛り目を描いている。



定期的にふと 青い絵が描きたくなる。

視線をひととき縛ってとろかすような
炭酸の泡に溶けて消えてしまいそうな
足元のふらつく不確かな懐かしさをくすぐるような
刺激の通り過ぎたあと、生温く舌に残ったラムネの甘みのような、

甘い深い暗い、澄んだ青が描きたい。
私にとっての青は 甘い眠たい安堵を誘う色。

ほんの余談だけども
私はこの年の癖して「懐かしい」という感情をどうしてこうも愛おしく思うんだろうね。



食 に纏わるモチーフに惹かれるようになった。

近頃ヤン・シュヴァンクマイエル氏の作品に傾倒している。
シュルレアリストのチェコの映画監督、アニメーターで
タチの悪い悪夢にひととき飛ばしてくれる、私にとっての魔法使い。

彼は「食卓」に纏わるものをことごとく、酷く歪に描写する。
視線を奪って縛り付けて離さないその描写が私はとても好きなんだ。

カニバリズムに思いを馳せた事もある。

案外明確に愛するという行為そのものなのかもしれないなあと思い
如何にしてグロ抜きで描けないものかと思案してみたり。

奥が深いね。

(勿論美味しそうな食べ物の描写が一番だけども!)



トイカメラで写真を撮る趣味ができてから
尚のこと 道端の人工物に愛おしさを感じるようになった。

御馴染みの交通標識
時には真っ赤な円柱ポスト
いつかの地震で赤にも青にも光らなくなっていた信号機、

踏み切りを見かけたら駆け寄って
公園のチープな動物型遊具に歩み寄り
電線の囲む逆光の青空を仰ぐのが好きになった。

無機物と 動物と 植物と 食べ物とを一度に描いてみたい。

そう思ってかはたまた無意識にか、
初夏に出展する油絵のラフには
既に羊と桜とポストと明治の板チョコが一緒に閉じ込められている。



ああ早く描きたいな!

私にとっての春は 右手が疼く季節。

物言わぬ石膏も
甘ったるい青も
歪んだ愛を呑みこむ食卓も
ファインダー越しに見惚れたものも、

私はなにもかもが大好きだよ。
描くという愛情表現を持っていて こんなに嬉しく思ったことはないよ。
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獏

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